雑・ホビーの工作

6. 昭和の機械
友人のアクセサリー屋から、30年以上前に廃業した真空管の工場があるから機械を取りにおいで。という電話があって遊びに行った。どういうわけで廃業に至ったか想像も出来ないが、100人働いていたという工場の全ての機械が置いてあった。
今思うと、あれも拾ってきたかったが、とりあえず蒸着装置3台を貰ってきた。
この工場はチタン酸バリウムのコンデンサと水晶発振子の工場だった。教えてくれた人は水晶200kgと酸化チタンの粉を持って帰った。チタンの粉は化粧品に使うらしい。最近は鉄面皮ではなくチタン面皮かと。
おまけに本を10冊、昔の機械のカタログ等も引き出しひとつ貰ってきた。一番古い本は、昭和11年の共立社刊行、電気物理実験法。真空管の作り方まで書いてある。日本真空の1967判カタログ等もあった。
平面研磨機
ダイヤカッター。6mの1300・C、自動送り電気炉、粉砕装置電気、プレス機、旋盤、全部ゴミに。
建物5棟に色々な機械があったが、現在はスクラップで駐車場になっているという話。日本人はゴミにしないと仕事がなくなるといいますが、機械が棄てられるのは情けない話で、集めれば明治村のように楽しめるかと。?機械は魚の餌場でいい?
蒸着機1。
蒸着機2
蒸着機3、現在修理中。
蒸着機1、正面から見たもの。
なんと、蒸着機2号は、不安定ながらも動いた。Wのボートで、Auの蒸着された様子。
蒸着機1号の蒸着部。
HC-6Uを作っていたらしい。.あの小さい穴より銀の蒸気が出て水晶面にメッキされる。
製造会社の昭和真空のご好意で、拡散ヒーターと全パッキン、フィリップスゲージをお分けいただいた。中々こんな事ない。
上面。ガラスの中でフィラメントが輝いているのはとても綺麗、LEDなんてけちな光にみえる。
掃除中の左右マニホルド。。当方の物大体自作で,精度よくなく、昭和の人は凄いいと思います。物凄い機械的な精度で名人でないと組上げ出来ません。当方は4度目にしてようやく、当初の性能に近くネジの締め上げ出来ました。
シャシー下部

左上:フィリップスゲージ用高圧トランス
中:フィラメントボート用スライダック
右上:フィラメント用トランス
左下:低真空側インダクションコイル
右下:高真空側インダクションコイル
背面、上中がフィリップス用磁石、使ったことは無いがベニング真空計の親かと。
真空機械だから内部は錆びない。今時こんな溶接できる人、中々無いと思う次第で。
昭和時代は凄いナと。錆びていても芸術品かと。
交換したパッキン(約半分)
金蒸着の様子。
左のメーターは、フィリップスゲージ。蒸着電圧はモリブデンのボートで4V60Aほど。
トランスと蛍光管と抵抗の組み合わせのシンプルな真空ゲージでも正確でピラニより正確と感じた次第、昔の技術は馬鹿にしていけません。
銀蒸着の様子。銀の玉が踊っている様子は世間の不景気を忘れさせます。
銀が蒸着されたベルジャー。膜は簡単に剥がせるので支障なし。
冬場寒くて水道管は凍って水が出ない。当然ポンプも古いので寄る年波に勝てず、大穴が開いてしまった。
修理に出すと高いというので、思案して修理してみた。
熱伝導セメントをパテにしてハンダを流し込み、固定した。
我ながら上手くいって、ポンプは正常に働くようになった。
アンプもDo it your selfかな、と。
蒸着機3号、前面から。
日本真空機器製作所、と書いてある。昭和36年生まれ。
なんとこの機械は、30年以上真空を保っていた。
上の機械用のRP
このポンプの真空度が一番高く上がったのにはガッカリした今までナにやってたんだろう。昭和のモーターカッコいい、デザインも良い、昭和30年代の旋盤の加工精度が良いというのも重さによるのかも。
損傷が激しいなぁ。、さびすぎだ
水漏れ箇所が多い。結局無修理、忘れることに
メインバルブ。とりあえずパッキンを変えた。他のバルブはベローズ入りだった。
水冷バッフルが破れて内部は水没していた。。
とても面倒見がいい昭和真空のご好意で穴を銀蝋埋めしてもらった。中々こんな事してくれる会社はないです。
不景気のなせる業で、ようやく直った。
植物をメッキするのはなかなか難しい。
この機械の拡散ポンプが立ち上がるまでは1時間。
約15分で、4掛けの10^(-2)Pa
古いのとポンプ内部が錆びているので、これ以上は無理かと。。
VCU-301型、S36生まれ。
昭和真空のSC-4W、昭和40年生。当時の性能より悪くなっているとしても右左の仕事の工程に入るまで約7分ほど、工作物を取り外して次の工程に入るまでには、お茶も飲めなかったのではと、労働者はつらいなあ、錆びていても、全手動バルブなんてカッコよすぎ。今までの機械は宙ぶらりんなところが多すぎて、反省した。
、多分、僕と同じ年齢です。

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