パーツのワンポイント活用術

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・H3型、H5型インターステージトランスの研究 
・WE111C、JS139入力トランスの研究(NEW)


H3型、H5型インターステージトランスの研究

左:H3型、右:H5型

形式 1次 2次 ±2db範囲 max. dbm Unbal DC
H3型 15K 60K 50〜10K +6 0mA
H5型 15K 95K CT 50〜10K +5 0mA

現品はH3、H5の表記のほかにOEM先のパーツNo.が書かれた物のあります。

<試作アンプ方針>

 できるだけシンプルで且つトランスを使用しないとできない構成のアンプにしたかったので、全段プッシュプル構成としました。(H3使用の電圧増幅は差動)もちろん出力管は自己バイアスです。使用している真空管はテレフンケンに拘りましたが、他の部品は普及品の部品を使用して高級部品を使えばグレードアップが図れるようにしました。追試される場合、出力トランスは5〜8Kpp(試作品は6.6K)で0−4−8−16の出力端子の有る物(4をCTとする), 電源トランスは倍電圧整流用で180V程度の端子が有る物をご使用ください。

・H3型使用回路図       ・H5型使用回路図

(注:当店で販売している部品は回路図中インターステージトランスだけです。本回路図は性能、音質を保証するものではありません。)

<位相反転段、電圧増幅段>

 位相反転はH3,H5のトランスで行います。2次側の終端抵抗はH3が33K+33K=66K、H5が47K+47K=94Kとなっています。蛇足ながら本機は12AX7/ECC83のグリットに負帰還を掛けていますので、グリッドは入力電圧があっても変動しませんので接地しているのとほぼ等価です。トランスの入力側に入っている4.7Kの抵抗は高域の盛り上がり防止用です。CDプレーヤやプリアンプの出力インピーダンスが低い場合は必要です。ところで、初段管は増幅度の大きい12AX7/ECC83を使用します。出力管に多極管を使うので現状でも少し増幅度は不足気味です。H3の2次側には中点タップが無いので差動増幅型、H5は中点タップがありますので普通のカソード接地型です。

<出力段>

 本機で使用したのはTELEFUNKEN製の6360です。この球は本来VHFのC級出力用で150MHのタクシー無線の出力に良く使用されていました。しかしオーデイオ動作の出力例も有り普通の回路で動作可能です。プレート特性図を見ると送信管らしくグリッドをプラス領域まで振り込むAB2級の動作が球の性能を十分に発揮させられますが、今回は出力は犠牲にして回路が簡単なマイナス領域のみのドライブとなっています。小さいMT管の中に5極管を2つ入れるためと高周波に対応する為カソードが共通になっていますので、カソード電流を利用してバランスを取る回路になっています。


<電源>

 B電源は、シリコン・ダイオードを使用したごく普通の整流です。電圧は250vの耐圧のコンデンサーが使用できる電圧としました。本機はプリアンプやチャンネルデバイダーの電源にも使用したいのでトランジスタによる簡易安定化電源を付けています。高耐圧トランジスタは同じのもは入手できないことが多いので耐圧、Pcを検討の上他品種を使用して下さい。コレクタの冷却フィンは付けていません。


<調整>

 出力段管のプレート電流は、R1R2の位置に100Ωのボリュームに置き換え、さらに6360のプレートに電流計を入れて調整します。電流値はだいたい22mA程度です。10Hz、20Hzなどの低域の歪率が測定できるかたは電流計を入れずに歪率を最小にすることにより調整可能です。10本ほど調整しましたが両ユニットが揃っているものはありませんでした。また100Ωではバランスぎりぎりのもありました。
 高域がにぎやかでプリアンプの出力インピーダンが低い場合は入力の4.7kを15k程度まで大きくしてみてください。高域の盛り上がりを押さえることができますが損失は増えるのでプリアンプの出力を増やす必要があります。

 


アンプを見ると

 下の写真が試作アンプです。W170,H65.6,D168.5のシャーシを使用し、出力トランス2個はシャーシ内に組みこんでいます。電源トランスとインターステージトランスの間隔は45mmと近いので多少誘導を受けています。


アンプの特性


 最大出力5.0Wでダンピングファクターは2.5(H3使用アンプ)。周波数特性は次のようになっていますが、20kHzで0.7dBの盛り上がりは特性を重視する方には物足りないものですから入力の4.7kを調整して下さい。測定に使用した発振器の出力インピーダンスは50Ωなので実使用でこれより悪くなることは有りません。 

 


試聴の感想

 

(2000.2.25)